FRT-5


前々回の投稿でチョット触れた「興味深い仕様のFloyd Roseユニット」について、サスティン・ブロック交換のためバラしてみましたので考察してみることにします。
手持ちのもの2個もついでにバラしてみました。
DSCF1179
DSCF1180
DSCF1181
上が今回入手したユニット、真ん中は手持ちのFRT-5でもかなり初期のモデル、下は比較的新しいものとなります。
上のユニットは前オーナーによりますと、KRAMERのペーサーの極初期のモデルに搭載されていたものだそうで、ということは80年代中期頃のものでしょうか。
また、新しいものと言っても全てアームはレンチが無いと取り外しが出来ない旧タイプなので、入手してからそれなりに時間の経過したもにはなります。
こうしてみると、あまり違いがないように感じますが、サスティン・ブロックを固定するためのネジ穴の深さに違いがあるのが分かるでしょうか。


続いて、裏側から撮影した画像です。
DSCF1182
DSCF1183
DSCF1184
上の二つはメッキ処理のフィニッシュに違いはありますが、形状的にはよく似た感じです。
下のは表面に細かな凹がつけられていますし、全体的にシャープさに欠けるように感じます。
そのことの確認のためにアームを取り付ける側を拡大してみました。
DSCF1185
DSCF1187
DSCF1189
真ん中のものがピントがおかしいですが、比較すると下のものだけベースプレートからファインチューナー部に立ち上がるところがアール処理となっていて、明らかにシャープさに欠けることが分かります。
続いて反対側も拡大してみました。
DSCF1186
DSCF1188
DSCF1190
やはり、同様に下のものだけ形状が異なりシャープさに欠けます。
製造年度を考えると、初期と比較して仕上げ処理が適当になったのか、型が劣化してシャープに仕上げられなくなったかということでしょうか。
因に、アーム・ユニットがハウジング付きの取り外しが容易になったものに変更されたタイプを確認したところ、やはりベースプレートからファインチューナー部に立ち上がるところはアール処理となっていますが裏面の処理は平滑なものとなっていますし、生産地の刻印が一段表記の「Made In Germany」から二段表記の「MADE IN GERMANY」に変更になっていることから型が変更になったと考えることも出来そうです。
Frankenstein Replicaのユニットは見た目的には型が変更になった後のユニットではないかと感じていますが、生産地の刻印を確認出来ず(アームがプラプラすぎ&バラしていないので)結論は出せません。
脱線してしまいましたがユニット比較に戻ります。
こんな比較をご覧下さい。
DSCF1192 DSCF1193
上は手持ちの二つを比較したもので、下は今回入手したユニットと初期のものを比較したものです。
今回入手したユニットのベースプレート厚がかなり薄いことにお気付きでしょうか?
もう少し分かりやすく撮影してみました。
DSCF1195
得意のデジタルノギスで測定したところ、平均で厚い方は3.4mm、薄い方は2.4mmということでおよそ1mm、なんと3分の一も違いがあることが分かりました。
秤がないので正確な重さは量れませんが、持った感じではかなり差があります。
次に、横に並べて比較してみました。
DSCF1194
ベースプレートの厚みが薄い分、ベースプレート下面からファインチューナー・ノブ装着部の天端までの高さも低いことが分かりますが、ファインチューナー・ノブ装着部の厚みには差がないことが分かります。
ベースプレートの製造方法がどのようなものなのか知りませんが、素人目には厚みが単一の方が製造しやすいのでは無いでしょうか。
折り曲げて加工していたとしたら、折り曲げ後わざわざ切削して薄く仕上げたということになるのかもしれませんが、どうしてこのような仕様が存在するのか疑問です。
最後に、比較的新しいユニットと今回入手したユニットを並べると・・・
DSCF1197
ベースプレートの長さにもこんな差があるんです。
この薄型ユニットと増厚したサスティン・ブロックの組み合わせは面白そうです!

4 thoughts on “FRT-5

  1. 最近なぜだか急にクレーマーのバレッタ好いている者です。
    いくつか質問させてください。
    初期型(ボトムプレート薄仕様)FRT-5のサドル固定キャップスクリューの長さはどうなっているのでしょうか?
    キャップスクリュー先端がボトムプレート底部から突出しているのでしょうか?
    あと、ファインチューナー稼動の為の板ばねをアシストする金属板は装備されていたのでしょうか?
    すいません、どうしても知りたくて・・・

  2. 池内さん、コメントありがとうございます。
    バレッタ良いですね。
    古いJK-1000を所有してますが、結構気に入っています。
    さて、ご質問の件
    1.サドル固定キャップスクリューの長さ
    通常のものと同じでした。
    つまり、ご指摘の通りスクリューの先端が通常より若干突出することになりますね。
    2.板ばねをアシストする金属板について
    装備されています。
    私の知る限りでは、ドイツ製FRT-5は全て装備されています。
    装備されていなかったのはフェルナンデス製FRT-5だけだったかと。

  3. Franken さま、
    ご回答ありがとうございます。
    疑問が解けました。
    クレーマーのアームアップリセスが無いギターに、一時期、まともに弦高調整とアームダウン出来ないものが多数発生したことがありまして。
    その時期のクレーマーのボディーを見てみると、ボディートップ側のトレモロ座繰りネック側に、フロイドローズブリッジのサドル固定用のキャップスクリュー先端の足跡が付いています。
    ネックポケット深度と、そこに収まるネック厚の仕様は以前のモデルと変わらないのに何故だろう?と思ったんです。
    手持ちの現行のFRT-5の板ばねアシスト底面から、3.4弦サドル溝トップまでの高さと、FRT-3(弦溝あり)のボトムプレート底面から、3.4弦サドル溝トップまでのサイズを比べてみたところFRT-5の方が1.8ミリ背が高かったのです。
    そして、サドル固定キャップの先端もボトムプレートから飛び出ていない。
    この弦溝ありのFRT-3を問題のギターに乗せてみたところ、何の問題もなく機能するので、現行の、若しくは写真にも有ります裏側ぶつぶつのモデル以前に、板ばね以外のブリッジ高に関する仕様が、FRT-3と同じFRT-5が存在するのではないかと考え、調べていた折、Franken さんのブログに出会った訳です。
    フェルナンデスのFRT-5 やUS仕様のフロイドローズPROには、御指摘の通り、板ばねのアシストがありません。
    それを過去に見ていたので、”昔は、あのパーツが無かったのではないか?”と考えました。
    板ばねの厚みが0.4ミリ、そのアシストの厚みが1ミリだったので、板ばねを取り去るのは無理にしても、ちょうど邪魔な厚さだったもので。
    それとほぼ同じ厚み分、ボトムプレートが薄かったと。
    なるほど。
    ボトムプレートの仕様が変わり、弦高が下げられないギターが出て来たのでしょうね。
    有用な情報の発信、ありがとうございます。
    お世話になりました。
    これからも楽しみにしております。
    池内一弥

  4. 池内さん
    疑問が解けたということで、少しでもお役に立てたなら幸いです。
    Floyd Roseが登場したての頃はリセス加工存在してませんでしたね。
    ウチのJK-1000はかれこれ今を遡ること20数年前に入手したものですが、イニシャルではフローティングセッティングでした。
    ネックポケットにはシムが挟み込まれていたのを良く覚えています。
    当時はエディがベタ付けセッティングだというのもそれほど知られてなかったと思いますし、MM EVHが登場するまではそんなセッティングにしていた方は少なかったのではないでしょうか。
    クレーマーが国内に登場する以前、楽器フェアで発表された直後に無理やりゲットしたFRT-5が手持ちでは最も古いもの(国内正規では最初期だと思います)ですがそれは通常の厚さですし、他にも80年代のモノを複数所有していますが全て通常の厚さです。
    諸々総じてみると、個人的な見解としてはわざわざ薄いベースプレートのユニットを製造したのではなく、たまたまそうした仕様のものがあったというレベルだと思っていますが。
    異論を挟むようで恐縮ですが、こうして交流できるのもエディのお陰かなと思っています。
    今後も拙ブログをご覧頂ければ幸いです。

池内 一弥 にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*