これまた Dave の MC でブレイクを入れることもせず、VAN HALEN Time Machine は強引に時を1979年に戻す。
Eddie が E-6弦のグリッサンドに続き “VAN HALEN II” からとっておきのリフを披露する。
Beautiful Girls だ!
シャッフルで跳ねるリフが気持ちイイ。
Alex のドラムソロもカウントに入れると既に18曲を昇華し、19曲目に突入というのに Eddie はもたつくことも無く元気な曲を元気に表現する!
流石にノドに疲れを見せ始めた Dave であるが、畳掛けるような歌詞をリズムに乗って歌い上げ、Eddie がこれに応えオブリガートフレーズを決める。
そして、ブリッジパートやサビで魅せる3人のコーラスが最高にカッコイイ!
Girl Gone Bad
レイドバックタイムが終わると、Alex がライドシンバルで特徴的なリズムを刻み始めた!
Women In Love と同じく Eddie がタッピングハーモニクスを駆使したアルペジオフレーズを繰り出すが、レイドバックした会場を覚醒させるかのごとく VAN HALEN Time Machine は時を再び 1984年に戻し、Girl Gone Bad を繰り出した。
VAN HALEN フリークは先刻承知である筈だが、2012ツアーのセットは全体がほぼ固定された中で数曲が公演毎交互に披露される傾向にある。
参戦した公演の前後だと、それは The Full Bug と Outta Love Again を披露するセットと Romeo Delight そしてこの Girl Gone Bad を披露するセットとなっていた。
個人的にはこの二通りであれば後者のセットが好みで、特に Girl Gone Bad は堪らなく好きな曲の一つだったので、Vancouver 公演が見事に後者のセットだったことは本当にラッキーであった。
Girl Gone Bad は、ハイウェイを豪快に疾走するアメリカン V8 的サウンドである Hot for Teacher に対し、より変化に富んだ構成の欧州レース的疾走感サウンドであり、コアな VAN HALEN フリークのハートを鷲掴みにする曲だ。
ここで魅せる Eddie の緩急変幻自在なギターの凄さは言葉に表すことが難しい。
Women In Love
Hot for Teacher
更に1984年への旅は続く。
いきなり Alex のドラムが火を吹いた!
あの比類なきブギーのリズムを刻むべードラが会場を炎で包む。
アルバム “1984” では I’ll Wait と順番が逆だが、Hot for Teacher が炸裂だ!
Eddie のタッピングが始まるのを身構えていると、Get Up でドラムが入ってからのリフ開始時に聴ける E-6弦のグリッサンド上昇フレーズを合図にタッピング開始!
あまりのカッコ良さにのけ反ってしまい、シャッタータイミングを誤ったようで見事にハレーション・・・
こんなハプニングも仕方ありますまい。
それにしても疾走感満点、このド迫力といったら一体なんだろう。
Alex のドラムが V8エンジンだとすれば、Eddei のギターは Super Charger 、更に Wolfy のベースはそこに Nitro をブチ込んだということか!
そして、そんなモンスターマシンを自在に操る Dave がカッコイイ!
I’ll Wait
Dance を堪能した会場に一瞬の静寂が訪れたが。すぐさま聞き覚えのあるマイナーキーメロディーが響き渡る。
VAN HALEN Time Machine は時を少し現代に戻し、遂に Rogers Arena を1984年に誘う。
モンスターアルバム “1984” から今夜初めて披露するのは I’ll Wait だった。
イントロのキーボードオンリーパートからドラム、ギター、ベースが加わるパートに遷移する直前、Alex の両脇に Eddie と Wolfy が登場した。
Eddie は赤黒白のFrankensteinカラーを纏った Charvel EVH Art Series Guitar を弾いている!
このギターはスーパーサウンドチェックでは披露してくれなかったが、
やはり、Eddie はこの色使いでカラーリングを施したギターが良く似合う・・・
Dance the Night Away
The Trouble with Never
You Really Got Me を終えると息つく暇も与えないかのように Alex がカウントを刻み、カウント3で Eddie がグリッサンドを決める。
グリッサンドは既に Wah の効いたトーンで A Different Kind Of Truth からのブランニューソング The Trouble with Never だ!
この曲でも China Town 同様、いや、スーパーサウンドチェックで堪能した As Is もそうであったが、スタジオアルバムで聴かせるサウンドを超える密度でギターワークを駆使して魅せる。
それもたった1本のギターで!
オールドファンには一見 Eddie のギターに似つかわしくないと感じさせる Wah pedal の多用だが、この曲では既に必然であるかのように完成されているのが凄い。
Eddie は Wah pedal の使い手としても頂点を極めてしまったようだ!
You Really Got Me
Eddie が Stealth の E-6弦に火を放つと、1978年世界中を興奮の渦に巻き込んだあのリフが炸裂する。
そう You Really Got Me だ!
Alex のドラムソロをハーフタイムショーに見立てれば、後半戦のスタートを告げるかのような展開だ。
Sammy の時代にも、Gary とのライブでも必ず演奏されてきた曲だが、やはり Dave とのコンビネーションはシナジーを感じさせる。
特徴あるオブリガートフレーズも 1st アルバムのそれをこれまで以上に意識していることを感じさせる、いや、それ以上に Eddie節満載だ。
ギターソロでは後半遂に Stealth に取り付けた秘密兵器キルスイッチを炸裂させた!
やはり、このギターソロにはスイッチング奏法が良く似合う。
というより、スイッチング奏法が無いライブを物足りなく感じていたのが実のところだ。
ライブで Frankenstein や KRAMER を使用している時代は構造上それを要求することは無理だったし、MM EVHでも Volume が1つだったから同様だった。
シグネーチャモデルがWolfgangに進化して、コントロールが2つになったのによもやの 1Volume 1Tone 構成で、もはや Eddie はスイッチング奏法に興味無いのかと頭の中で半ば諦めていた。
ところが、キルスイッチを搭載したのは他の要件でだったのかも知れないが、21世紀型 VAN HALEN でこれを見事に復活させてきたのだ!
やってくれるぜ Eddie !!
Alex Van Halen
Oh, Pretty Woman
Hear About It Later のエンディングで Eddie のギターが余韻を残す中 Alex がハイハットでカウントを刻む。
カウント3でギターとベースが同時にグリッサンドを炸裂させ Oh, Pretty Woman がスタートした!
リフに合わせた Eddie のアーミングプレイが気持ち良いセカンドパートと、Pretty Woman を Pretty Woman たらしめるシンコペーションが効いたメインリフパートの裏で、カウベルとシンクロした Alex のスネアが最高だ。
疾走する曲で魅せる Alex のビートは壮絶だが、ミディアムテンポでのグルーブ感もこの上ない魅力だ。
会場の盛り上がりは言葉にできないほどで
Eddie は自らも気持良く演奏できていることを隠さない。