Hear About It Later のエンディングで Eddie のギターが余韻を残す中 Alex がハイハットでカウントを刻む。
カウント3でギターとベースが同時にグリッサンドを炸裂させ Oh, Pretty Woman がスタートした!
リフに合わせた Eddie のアーミングプレイが気持ち良いセカンドパートと、Pretty Woman を Pretty Woman たらしめるシンコペーションが効いたメインリフパートの裏で、カウベルとシンクロした Alex のスネアが最高だ。
疾走する曲で魅せる Alex のビートは壮絶だが、ミディアムテンポでのグルーブ感もこの上ない魅力だ。
会場の盛り上がりは言葉にできないほどで
Eddie は自らも気持良く演奏できていることを隠さない。
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Hear About It Later
極限までヒートアップした会場の緊張を解きほぐすかのように、Eddie は Stealth の d-tuna を解放し A-5弦をルートにしたアルペジオを刻み始める。
Fair Warning のアナログ盤A面ラストを飾った名曲 Hear About It Later がスタート!
あの特徴ある Flanger サウンドがフレーズにうねりを加え耳に心地良さを与えてくれる。
テンポは Eddie の思うがままだが、会場の熱気をよそに絶妙だ。
イントロから Alex とWolfy が加わるパートに移行すると、一気にへヴィーな展開に突入する。
1981年の Fair Warning ツアーにおける名演をビデオシュートした映像が当時日本でも放映され、懸命にビデオ録画しテープが擦り切れる程繰り返し、繰り返し見たものだったが、2012年版 Hear About It Later も Eddie のギターはほぼあのアレンジで演奏されている。
違いといえば・・・
ボトムを支える Wolfy のベースの存在感が更に際立っていることだ。
Dave のバックでのグルーブ感が物凄い。
Eddie と Wolfy のコーラスはここでも抜群の相性と安定感を聴く者に与える。
China Town
強烈な Somebody Get Me a Doctor で会場が興奮冷めやらぬ状態の中、Eddie は Wolfy が陣取るステージ左側に向う。
Alex がハイハットでカウントを刻む。
いや、テンポを指示しているという感じか。
Dave が何やら叫ぶと、Eddie と Wolfy のシンクロタッピングプレイが炸裂だ!
タッピングパートが終わると Wolfy はカポを解き放ち、Alex のリズムに合わせ重低音を爆発させる。
Alex、Eddie、Wolfy の呼吸は完全にシンクロし、アルバム以上の迫力で会場を圧倒する。
その勢いに Dave まで頭の中が白くなったか、歌詞を間違えたようだ。
兎に角 VAN HALEN 一家の演奏パワーは凄まじい。
Dave もペースを取り戻し、畳掛ける演奏に応える。
Somebody Get Me a Doctor
Everybody Wants Some!! がエンディングを迎えると、間髪置かず Eddie が E-6弦に一撃を加え更にアームでブリッピングを与える。
あたかも、コーナーからの立ち上がりに向けギアを一つ落とすかのように。
それに呼応して Alex がハイハットでカウントを刻む・・・
Somebody Get Me a Doctor の始まりだ!
あの特徴あるリフが最高で、一拍目のドラムとベースがスクラムを組むアタックがドッドン!と腹に効く。
Sammy Hagar が加わってから長らく封印されていたが、1998年の来日公演では Michael Anthony がリードボーカルを取る形で封印が解かれていた。
勿論あの時も感動はしたものの、正直に言えば逆に Dave の必要性を再認識させるようなものであった。
Gary Cherone に歌わせるコトすら出来なかったのだから。
そのキャラクター、声質、声域・・・etc.
Dave の全てとこの曲のマッチングは最高だ!
Everybody Wants Some!!
Tattoo
Romeo Delight
She’s the Woman が終わると一瞬の間を置き Eddie が Stealth のE-6弦に火を放ち、間髪を入れず右手人さし指でE-6弦12Fをタッピングする!
早くもエンジン全開モードで Romeo Delight 炸裂だ!
VAN HALEN のアルバムにはギターキッズのハートを鷲掴みにするクールに疾走するキラーチューンが必ず存在する。
それは、例えば I’m The One のようにアメリカンマッスルカーのビッグブロックV8が地響きを上げ爆走するような強烈なブギーチューンであったり、Eruption はまるで Monaco GP でモンテカルロ市街地サーキットを疾走する F1 マシンの咆哮のようだし、Light Up The Sky はスタート合図でドライバーが自分のマシンにかけ寄りエンジンをスタートするル・マン式スタートのレースを連想させる。
つまり、VAN HALEN流疾走チューンにはアメ車的豪快チューンとヨーロッパ車的颯爽チューンがあるということだ。
そして、Romeo Delight はその後者の代表的なチューンだと思う。
この曲を21世紀にライブで堪能できるとは本当に素晴らしい!
She’s the Woman
続いて、Dave の短いMCの間に Eddieが自らのカスタムメイドペダルボードに近付き、Alexのカウントで始まったのは A Different Kind Of Truth からの古くて新しい名曲 She’s the Woman だ!
スーパーリハーサルでは省略されていたイントロだが、Eddie はアルバムで聴ける通り Wah pedal を使い滑らかに導入する。
例えば、1976年のDemo音源で聴けるようなストレートなトーンも魅力ではあるが、ここまでオン/オフの音質劣化が感じられないWahトーンには脱帽だ。
そして、ここでも Wolfy が存在を主張する。
楽器や機材ではなく、指先こそが発するユニークなトーンと Alex のドラムサウンドが絶妙にマッチングして21世紀型 VAN HALEN のボトムをガッチリ固める印象だ。
その強固な基盤の上で Eddie のギターが雄叫びをあげ、Dave が吠える!
Runnin’ With the Devil
Unchainedのエンディングが完全に消える前に、聞き覚えのあるSEが炸裂!
そう、1978年世界を揺るがした VAN HALEN 登場を高らかに告げる1stアルバムのトップを飾る Runnin’ With the Devil だ!
SEと交代で Wolfy のベースが会場を揺さぶる。
これは凄い、マジで凄い
思わず、Dave が Bass Guitaaar !!! と唸る。
A Different Kind Of Truth の The Downtown Sessions では Wolfy に注文をつけていたが、それを乗り越えたようだ。
そして、それに呼応するかのように Alex のドラムが絡み、Eddie のギターが咆哮する。
Unchained
Daveの Let’s Go ! を合図に、今回のツアーですっかりお馴染になったEVH Wolfgang Stealthに併せたのかのような黒いシャツ、パンツをまとったEddie Van ‘Rock Star’ HalenがFair Warning(邦題:戒厳令)のアナログ盤B面トップ Unchained のスーパーリフを刻み始めた!
健康問題が報道されたこともあり、一抹の不安を抱きながらコンサートに臨んだことなど軽く吹き飛ばしてくれる勢いで曲は進んでいく。
今回のツアーではプロユースでないカメラなら自由に画像、映像を捉えることが出来るのはファンにとって最高のプレゼントだ!
pre-showのスーパーリハーサルでも再認識できたが、A Different Kind Of Truth で聴けるブッ飛びベースが間違いなくWolfyのそれであることを感じさせる、若さ漲るプレイがバンドを覚醒させている。
そして・・・